ぐうたら妻とは私のことです。

バリキャリからの転落(天楽)日記

不運な日 part2

トイレと同じ日。

 

とても天気がいいので夕日の絶景ポイントに久々に行く事にした。

先日の大雪が嘘のようにお天気で暖かいドライブ日和だった。

絶景ポイントにつき美しい夕日を30分かけて眺めていた。

 

前に住んでいたところでは夕日をよく眺めていたのだが

こちらに来てからは山に夕日が沈むので海に沈む様子は頻繁には見られない。

以前バリのクタに住む人が必ず夕日の時間に海へ行き

夕日が沈むのを眺めているという話を聞いた。

久々に夕日を眺めながらそれってとても贅沢な時間だなと思った。

18時過ぎ夕日は真っ赤に染まりながら海の彼方へと沈んでいった。

それを待つか待たないかくらいのタイミングでわたし達はその場を後にした。

 

帰り道家までの道のりをナビにセットして出発したのだが

夫くんは途中道を曲がるのを見逃してしまった。

夫くんは海沿いから帰ると遠回りだから山から帰りたいんだと車をUターンさせた。

しばらく来た道を戻ってみたが先程ナビで指示された道が表示されない。

夫くんはしびれを切らして適当な道を選んで車を左折させた。

 

田舎道は都会と違って一歩間違えるととんでもないところへ連れていかれる。

まして時間は18時を過ぎてきている。

山の18時過ぎといえば、だんだんとそこは動物ともののけの時間だ。

夜ともなれば真っ黒な闇の世界。

よきかあしきかの導きで辿り着く先は雲泥の差だ。

 

わたしの予感は悲しくも的中し車はどんどん山深い道を進み始めている。

多少の険しい山道は何度か経験はしているので最初は良かったのだが

だんだんともう切り返しも難しく前にしか進めない道になってきた。

 

わたしの体も何かを察知して肩から腕にかけて硬直し、こぶしを硬く握りしめている。

道はさらに険しくなり右側は崖となり車1台がギリギリ通れるような幅で

左側からは容赦なく木や草が車を傷つけようと飛び出している。

 

夫くんは何かのゾーンに入ってしまったかのように

一心不乱にその危険な道を飛ばし続ける。

しかしなぜかその時ナビが反応して新たな道をさした。

これ以上先に進み続けるといつ道がなくなるかわからない。

ナビの指示通り道を曲がりギリギリの道を行く。

すると突然そこにオスの鹿が現れる!

一瞬心臓が止まりかける。

しかし大きなオス鹿は車の気配に気づいて急いで元の道に戻ってくれた。

 

危なかった。

深い山のこの時間、人間であるわたし達こそがお邪魔させてもらっている状況。

鹿にお礼を言ってさらに先を行く。

 

が・・・

その先はどう見ても車で行けるような道ではなかった。

 

それでも勢い余って向かおうとする夫くんを必死に止めて

今来たギリギリの道をバックすることを余儀なくされた。

右側はほぼ崖だ。少しでも間違えば車が傾く。

夫くんが冷静に車をバックさせて来た道を戻る。

何回か左から大きく飛び出た枝が車を擦る。

切り返し切り返しながら先程の鹿が出てきた道までなんとか戻り

さらに先の少し幅のあるところで車を切り返す。

運転手側の先の方はかなりギリギリだ。

 

わたしはすでに横で半泣き状態

夫くんはなんとか車を元の道に戻すことができた。

 

少しずつ牧場や作業場のようなところが出てきたので

間もなく通常の道に戻れそうではあったが

変わらず道が道ではない山道なのでいつまた細い道に入り込むかと気が気でなく

ずっと両手を握り締めながら足の先まで力が入った状態で

なんとかやっと普通の道に辿り着いた。

 

夫くんは途中で車を停めて「ごめんごめん」とわたしの強ばった体をさすった。

一度入った緊張はなかなか解く事はできず

 

半泣き状態で

「だから何度も怖いって言ったじゃんかー」

と怒り続けた。

 

夫くんは「死」の恐怖に薄いところがある。

つまり危機感に疎いのだ。

反してわたしは危機感の塊で常日頃から「死」の感覚と隣り合わせのようなもの。

 

きっとそこでバランスを取っているのかもしれないが

わたしからしたら毎日が魂をすり減らして生きてるようなもの。

自分が疎くても、もう少し隣の人が恐怖で魂すり減らしてると思って欲しい。

残念ながら普段はそこに気がつけるのだが

突如そのセンサーがバグる時が容易にある。

 

わたしの体は次の日の朝までグッタリだった事は言うまでもない。

トータルしてかなり不運な1日だった。